ニシアフリカトカゲモドキは飼育しやすい爬虫類ですが、注意すべき問題の一つとして「拒食」があります。
ちょっとしたきっかけから拒食は起こりますが、長く続くと不安を感じる状況になります。
この記事ではニシアフリカトカゲモドキの拒食の原因や対策について、詳しく解説していきます。
ニシアフリカトカゲモドキの拒食とは
拒食とは、簡単にいうとニシアフリカトカゲモドキがエサを食べなくなる状態のことです。
通常、健康なニシアフリカトカゲモドキは食欲旺盛で定期的にエサをよく食べますが、何らかの理由から食欲が低下し次第にエサを全く食べなくなると、健康状態に悪影響を及ぼします。
拒食の原因は多岐にわたり、環境的要因、健康問題、ストレス、季節的な変化などが影響します。
もともと尻尾に栄養をため込んでいるので、栄養状態が良い個体であれば1ヶ月くらいエサを食べなくても大丈夫なのですが、ニシアフリカトカゲモドキの拒食は数週間にわたって続くことがあり、放置すると体重減少や脱水、さらに深刻な健康問題に発展する可能性があります。
拒食が見られた場合には、早めに原因を探し適切な対処を行うことが必要です。
ニシアフリカトカゲモドキの拒食の主な原因
拒食の原因は多様で、いくつかの要因が複合的に作用している場合もあります。
温度管理の問題
ニシアフリカトカゲモドキの飼育環境で最も重要な要素の一つが温度管理です。ニシアフリカトカゲモドキは変温動物であり、体温は環境温度によって変化します。
適切な体温が維持されないと、消化機能が低下し、結果として食欲も減退します。
理想的な飼育環境では、ケージ内に「ホットスポット」と「クールスポット」を設け、ニシトカゲモドキが自ら体温調節できるようにすることが重要です。
一般的に、ホットスポットは30〜32℃、クールスポットは24〜26℃の範囲が適切とされています。温度が低すぎるとニシアフリカトカゲモドキは体を温められず、消化機能が低下してエサを食べなくなる可能性があります。
ストレス
ニシアフリカトカゲモドキはとても繊細な生き物であり、ストレスに非常に弱いです。
環境の変化、過度な騒音、頻繁なケージの移動、人間の手による過度なハンドリングなど、様々な要因がストレスを引き起こす可能性があります。
些細なストレスが原因で拒食が発生することも多く、特に新しい環境に引っ越した直後などは顕著です。
ストレスを軽減するためには、安定した環境を整えることが重要です。ケージの配置を頻繁に変えないことや、静かな場所にケージを設置することも効果的です。
健康問題
拒食は、病気や寄生虫感染などの健康問題の兆候である場合もあります。消化器系の疾患や寄生虫、口腔内感染症などが原因となることがあります。特に口の中に炎症や異常が見られる場合は、エサを食べたくても痛みのために食べられないことが考えられます。
また、脱皮不全やケガもニシアフリカトカゲモドキの食欲に影響を与えることがあります。脱皮の前後は一時的に食欲が落ちることがありますが、通常は脱皮が完了すると再び食欲が戻ります。
ただし、脱皮不全が続く場合は脱皮をスムーズに行えず、ストレスや健康問題を引き起こすことがあります。
季節的な影響
ニシアフリカトカゲモドキは自然界では季節の変化に伴い食欲が変動することがあります。
特に冬期になると、日照時間や気温の低下により食欲が減少する傾向があります。これは自然のサイクルであり一時的なものである場合が多いですが、飼育下でもこのような季節的な変化に反応することがあります。
自然界では冬眠に入る前兆として食欲が落ちることがありこれは正常な反応です。ただし、飼育環境が適切に管理されている場合、冬眠に入る必要はなく過度に食欲が落ちるようであれば注意が必要です。
拒食時の対策
拒食が発生した場合、まずは原因を特定し、それに応じた対策を講じることが重要です。以下に、拒食に対する具体的な対策をいくつか紹介します。
環境の見直し
まず最初に行うべきことは、飼育環境を見直すことです。
温度、湿度、照明などが適切に管理されているか確認しましょう。特に温度は非常に重要で、ホットスポットとクールスポットが適切に設定されているか、温度計で測定し確認することが必要です。
また、ケージ内のレイアウトがニシアフリカトカゲモドキにとって快適かどうかもチェックしましょう。ケージ内が清潔に保たれているかなど、細かい点を確認します。
エサの種類を変える
ニシアフリカトカゲモドキは飽きっぽい一面も持っており、同じエサばかり与えていると突然食欲を失うことがあります。一般的には、コオロギやミルワームなどの昆虫を与えますが、エサの種類を変更してみることも一つの手です。
たとえば、シルクワームやデュビアなど、他のエサを試してみると再び食欲が戻ることがあります。
また、餌にカルシウムやビタミンをまぶして栄養バランスを整えることも重要です。不足している栄養素が食欲不振を引き起こす可能性があるため、サプリメントを適切に使用しましょう。
ストレスを軽減する
ストレスが原因である場合は、飼育環境を落ち着いた場所に設置し、ニシアフリカトカゲモドキに安心感を与えることが重要です。頻繁にケージを移動させたりケージ内に手を入れて触れたりすることは、ニシアフリカトカゲモドキにとってストレスになります。
特に新しい環境に移したばかりの個体は、数日から数週間かけて環境に慣れる必要があります。無理にエサを与えようとするのではなく、静かに見守りつつケージ内の環境が最適であることを確認してください。
部屋を暗くしてみる
ニシアフリカトカゲモドキは目があまり良くありません。もともと弱視の個体もいて、明るい場所だと眩しくてエサがよく見えていないこともあります。
エサをあげる時だけ、部屋の電気を消して暗くしてあげると食べやすいこともあります。
獣医師への相談
拒食が長期間続き、明らかに体重が減少している場合や健康状態に異常が見られる場合は、速やかに爬虫類に詳しい獣医師に相談することが必要です。特に、健康問題が原因である場合は専門的な診断と治療が必要になります。
ニシアフリカトカゲモドキの拒食が病気や寄生虫感染によるものである場合、適切な治療を行わなければ命に関わることもあります。早期発見と早期治療が、拒食からニシアフリカトカゲモドキを回復させるための鍵となります。
拒食を防ぐための日常管理
拒食を防ぐためには、日常的なケアと観察がとても重要です。
体重測定
ニシアフリカトカゲモドキの体重を定期的に測定し、健康状態をチェックすることは重要です。
体重が減少している場合は、拒食の兆候かもしれません。特に、2週間以上続く体重減少には注意が必要です。
バランスの取れた食事
栄養バランスを考えた食事をあげることで、ニシアフリカトカゲモドキの健康を維持し、拒食を予防することができます。
同じ種類のエサばかりでなく、様々な種類のエサを与え栄養の偏りを防ぎます。
また、定期的にカルシウムやビタミンのサプリメントをまぶして補給することで健康をサポートすることができます。
健康チェック
ニシアフリカトカゲモドキの健康状態を日々観察することも大切です。
食欲の変化、動き方、便の様子、皮膚の状態などに注意を払い、異常が見られた場合は早めに対処しましょう。
実際の対策例
実は私の飼っているニシアフリカトカゲモドキも拒食状態になったことがありました。
ニシアフリカトカゲモドキを飼って初めての冬、窓際にケージを置いてたのもあり、ケージ内の温度が下がってしまっていました。
対策として、まずは24時間のエアコン管理に切り替えました。ケージの上からはジェックスのヒーティングトップを置いて、ケージの底に敷いてたパネルヒーターの敷く範囲を増やしました。
エサはずっとコオロギばかりをあげていたので、ハニーワームをあげてみましたが、タイミング的にかなり体力落ちてたようで見向きもしませんでした。
ハニーワームも食べない状態になると、ニシアフリカトカゲモドキが自分でご飯を食べるのは難しく、あまりに食べない時期が長くなり過ぎると脱水が起こるので、人口フードをシリンジを使って毎日少しずつあげていました。
しかし、それすらもだんだん嫌がるようになってきて、結局最後は病院に連れていきました。
便も一緒に持って行き、顕微鏡で見てもらうと寄生虫がいたのと、喉が赤くなって鼻水も出ていたので抗生剤の注射をしてもらいました。
人間と違って、爬虫類は抗生剤が効き始めるまでに、2週間ほどかかるのでシリンジを使いながら、薬と栄養剤を飲ませて1ヶ月ほどで体調も戻り回復しました。
病院で言われたのが、「原因がどこにあるのかはじめはわからないから、消去法でひとつひとつ変えていってみるしかない」と。「体力落ちていったり、免疫が落ちてくると感染症になってしまったりするから本当にひどくなる前に見せに来た方がいい」と。
病院に行く場合は、便を持っていくとその場で検査してくれるのでおすすめです。
まとめ
ニシアフリカトカゲモドキの拒食は、適切な対策と環境管理を行うことで防ぐことができる場合が多いです。
実際ニシアフリカトカゲモドキ自身が何にストレスを感じるかは個体に応じて様々ですが、飼育環境の見直し、ストレスの軽減、エサの変更など基本的なケアを丁寧に行い、できるだけ快適な環境を作ってあげることが大事です。
もし拒食が長期化する場合や健康に異常が見られる場合は、早めに獣医さんに相談しましょう。
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